私が富山に住むようになって10年が経ったころ、月刊誌「越中人譚」と出会いました。号数を読みかさねるごとに、富山の風土が多岐多彩な先人達を育み、今日の我々の文化の礎になっている事をあらためて知り、驚きと感嘆の連続でした。そして、郷土の先覚者たちの生き様を未来へのメッセージとして、富山の人々に発信する活動に、強い共鳴を感じました。多くの企業の支援で出版が成り立ち、地域社会に情報を広めるメディアの担い手・チューリップテレビが発行されている点も大変意義深い事だと思いました。
彫刻家の私も肖像彫刻という形ある表現で、「越中人譚の人々」の精神を語り継ぎたい。それが作品を造り始めた思いです。先人の人生に思いを馳せ、内面に秘められた強い志とその魂を、粘土と向き合い「形」にしていく。次の人物、また次の人物と思いを新たに取組むうちに作品は増え、50点に膨らみ今回の展覧会に至りました。それは、魅力ある「越中人譚の人々」に触発され、後押しされて出来得た事だと思います。
私が肖像作品に託す思いは、作品と向き合う人との 無言の対話"です。この展覧会を鑑賞していただく方に、先覚者の時空を超えたメッセージが、微力ながら伝われば幸いです。